卒FITのデメリットを正しく理解しているオーナーは、思いのほか少ないです。AFP・宅地建物取引士として法人を経営する私、Christopherは、卒FIT後の売電単価急落を数字で精査した結果、単純な継続売電では収益が半減以下になると判断しました。この記事では7つのリスクと具体的な対策を、法人経営者の視点から解説します。
卒FITで起きる売電単価急落の現実
FIT期間中と卒FIT後の単価差はどれほどか
FIT制度(固定価格買取制度)が適用されていた2012〜2015年頃に設置した住宅用太陽光発電の買取単価は、42円/kWhから38円/kWhという水準でした。それが卒FITを迎えた途端、電力会社の提示する買取単価は7〜9円/kWh台まで下がります。単純計算で、売電収入は5分の1以下になる可能性があるということです。
私が自身の法人で試算した際も、この落差の大きさには改めて驚きました。月間発電量が300kWhの設備なら、FIT期間中は月1万円超の売電収入があったはずが、卒FIT後は月2,100〜2,700円程度まで減少します。年間ベースでは8万円以上の収入が消える計算です。
この「単価急落」こそが、卒FITデメリットの根幹にある問題です。対策を取らずに漫然と電力会社に売り続けることは、資産運用の観点から見ても非効率と言わざるを得ません。
電力会社ごとの買取単価差と切替コスト
卒FIT後の買取先は、必ずしも大手電力会社に限定されません。新電力や地域の電力会社が独自の買取プランを提供しており、単価は7円台から10円台まで幅があります。ただし、切替には手続きコストと時間がかかるうえ、新電力各社の財務状況によっては途中で買取を打ち切るリスクもあります。
実際に卒FIT 売電単価を比較検討した経営者仲間の話では、切替手続きを怠ったまま大手電力会社のデフォルト単価(7円台)に移行してしまったケースも珍しくありませんでした。卒FITのタイミングから逆算して、少なくとも6カ月前には切替先の検討を始めるべきです。
買取終了後に現れる7つの収益リスク
リスク1〜4:収益・費用・制度の複合損失
卒FIT後の収益リスクを私が法人の投資判断として整理すると、大きく7つに集約されます。まず4つを見ていきましょう。
- リスク1:売電単価の恒久的な低下 前述の通り、7〜9円台への急落は一時的なものではなく、FIT終了後は市場連動型の単価が原則になります。今後も電力市場の動向次第でさらに下振れする可能性があります。
- リスク2:パワーコンディショナー(PCS)の更新費用 設置から10年以上が経過した設備では、パワコンの寿命が迫っています。交換費用は機種や容量によって異なりますが、一般的な住宅用(4〜5kW)で15万〜25万円程度が相場です。卒FITと同時期にこの費用が重なると、実質的な収支はさらに悪化します。
- リスク3:余剰電力の「無駄捨て」問題 買取単価が低すぎるため、売電するよりも自家消費に回したほうが経済合理性が高い状況が生まれます。しかし蓄電池や自家消費切替の仕組みが整っていなければ、昼間の余剰電力はそのまま低単価で売られ続けます。
- リスク4:電気料金値上がりとの逆ザヤ拡大 2023〜2024年にかけて家庭用・業務用電力の料金は大幅に上昇しました。買電単価が30〜35円/kWhに達している一方、売電単価は7〜9円台という「逆ザヤ」は今後も続く可能性があります。自家消費に切り替えれば1kWhあたり20円以上の差益を取り込めることになります。
リスク5〜7:法人・税務・保険面の見落としリスク
次の3つは、特に法人オーナーや節税目的で太陽光を保有している方が見落としやすいリスクです。
- リスク5:法人での減価償却終了後の税務メリット消滅 法人で太陽光発電設備を保有している場合、FIT期間中は売電収入と減価償却費の組み合わせで節税効果が見込まれましたが、耐用年数(17年)を過ぎれば減価償却は終了します。卒FITのタイミングと減価償却終了が重なると、課税所得が一気に増加する局面もあります。税務上の影響については、必ず顧問税理士に確認してください。
- リスク6:火災保険・動産総合保険の見直し漏れ 設置から10年以上が経過した設備は、当初加入した保険の補償内容が現状と合っていないケースがあります。パネルの劣化や設備価値の変化に応じた保険の見直しを怠ると、いざ損害が発生した際に補償が不十分になるリスクがあります。
- リスク7:PPAモデルへの切替判断の遅れ 卒FIT後の選択肢として、第三者所有モデル(PPA)への切替があります。ただしPPA契約は10〜20年の長期拘束が一般的です。判断を急いで不利な契約を結んでしまう、あるいは逆に判断を先延ばしにして収益機会を逃すという両方のリスクがあります。
AFP・宅建士の私が法人で精査した卒FIT対策の実際
顧問税理士との打ち合わせで気づいた「法人特有の論点」
私がAFP・宅地建物取引士として都内で法人を経営する中で、太陽光投資を検討するにあたり顧問税理士との決算前打ち合わせで卒FITの収支シミュレーションを共有した経験があります。その際に税理士から指摘されたのが、「設備の帳簿価額と実際の市場価値の乖離」という論点でした。
法人として太陽光設備を売却する場合、帳簿上の簿価と売却価格の差が譲渡損益として計上されます。卒FIT後に設備価値が下がったタイミングで売却すれば、理論上は譲渡損を計上できる可能性があります。ただし、この処理が適切に認められるかどうかは個別の事情によって異なるため、最終判断は必ず顧問税理士に依頼してください。税務判断を自己判断で行うことは、後の税務調査でリスクになり得ます。
FPの知識と税理士の専門領域は隣接していますが、明確に異なります。私がAFPとしてできるのはキャッシュフローのシミュレーションや収支判断の枠組み作りであり、税務上の処理方法を確定させるのは税理士の仕事です。この役割分担を明確にした上で顧問契約を組んでいることが、私の法人運営の基本スタンスです。
投資判断として卒FIT 法人で見るべき3つの数字
法人で卒FIT後の設備を保有・運用する際、私が投資判断の軸として置いている数字は3つです。
1つ目は「自家消費率」。現状の電力使用パターンで、発電量のうち自家消費に回せる割合がどれだけあるかを把握します。自家消費率が高いほど、高い買電単価を節約できる効果が大きくなります。
2つ目は「実質回収期間」。蓄電池導入など追加投資をする場合、その投資額を年間の経済メリット(節約電気代+売電収入)で割った回収年数を計算します。蓄電池の場合、設備費用100〜200万円に対して年間節約効果が5〜15万円程度のケースが多く、回収に10〜20年かかる計算になります。この数字を見ると、蓄電池導入が必ずしも経済合理的とは言い切れない場面もあることがわかります。
3つ目は「卒FIT後の正味キャッシュフロー」。売電収入の減少分、パワコン更新費用、蓄電池導入費用などを加味した上で、年間・月間のキャッシュフローがプラスかマイナスかを5年スパンで試算します。この試算を顧問税理士・ファイナンシャルプランナーと共有した上で意思決定するのが、私が経営者として実践しているアプローチです。
自家消費切替と蓄電池で損益分岐を改善する方法
卒FIT 自家消費切替の経済メリットを具体的に計算する
卒FIT後の対策として、卒FIT 自家消費への切替は収益改善効果が見込める有力な選択肢の一つです。考え方はシンプルで、「7円で売るより30円の電気代を節約する」という発想の転換です。
仮に月間余剰発電量が200kWhある場合、売電を続けると月収入は約1,400〜1,800円です。一方、この200kWhをすべて自家消費に振り向ければ、30円/kWhの電力単価で計算すると月6,000円の節電効果が見込まれます。年間で見ると、4〜6万円規模の差が生まれる計算です。
ただし、自家消費切替には電気の使い方を昼間にシフトする「行動変容」が必要です。法人の場合はオフィス機器や空調の稼働時間を調整することで自家消費率を高められる可能性がありますが、個人の生活パターンによっては昼間の電力需要が少なく、余剰が発生し続けるケースもあります。FIT卒業後の売電価格2026|法人で試算した7つの収益判断軸
卒FIT 蓄電池導入の費用対効果を冷静に判断する
卒FIT 蓄電池の組み合わせは、自家消費率を高める手段として広く知られています。蓄電池を導入すれば、昼間の余剰電力を夜間に使用できるため、買電量を大幅に削減できます。ただし、費用対効果の観点から冷静に数字を見ることが重要です。
2025〜2026年時点での住宅用蓄電池の相場は、容量・メーカーによって異なりますが、6〜10kWh程度の製品で工事費込み100〜180万円が一般的な水準です。年間節約効果が10万円だとすれば、単純回収期間は10〜18年となります。蓄電池の保証期間・寿命が10〜15年程度であることを考えると、経済合理性の判断は慎重に行うべきです。
一方で、補助金を活用すれば初期費用を圧縮できます。国の補助金(経済産業省・環境省の各種制度)や都道府県・市区町村の補助金を組み合わせることで、実質負担が20〜50万円程度になるケースもあります。補助金の適用条件・申請期限は毎年変わるため、最新情報は各自治体や経済産業省の公式サイト、または専門業者に確認することを推奨します。FIT太陽光2026年単価|法人で精査した7つの売電収益判断軸
まとめ|卒FITデメリットを知った上で取るべき行動
7つのリスクと対策の整理
- 売電単価は卒FIT後に7〜9円台へ急落し、FIT期間中の5分の1以下になる場合がある
- パワコン更新費用(15〜25万円程度)が卒FITと同時期に重なるリスクがある
- 余剰電力を低単価で売り続けることは、自家消費との比較で大きな機会損失になる
- 電気料金の上昇により、売電単価との逆ザヤは今後も拡大する可能性がある
- 法人保有の場合、減価償却終了後の税務変化を顧問税理士と事前に確認すべきである
- 保険の補償内容が設置当初のままになっていないか見直しが必要である
- PPA切替は長期契約を伴うため、判断の遅れ・焦りの両方がリスクになる
卒FIT 対策として取り得る選択肢は、自家消費切替・蓄電池導入・買取先の変更・PPA切替・設備売却など複数あります。いずれも「自分の設備の現状数値」と「ライフプラン・事業計画」に照らして判断するものであり、一律の正解はありません。
AFP・宅建士として伝えたい最後のアドバイス
私がAFPとして長年関わってきた経験から言うと、卒FITの問題は「知っているかどうか」で対応の質が大きく変わります。FIT満了の通知が届いてから慌てて動き出すのではなく、満了の1〜2年前からシミュレーションと選択肢の整理を始めることが重要です。
特に法人で太陽光設備を保有している方は、税務・会計上の影響が個人よりも複雑になるため、顧問税理士との連携が欠かせません。個別の事情によって最適解は異なります。FP視点のキャッシュフロー分析と税理士の専門判断を組み合わせることが、卒FIT後の収益を守る上で有効なアプローチだと私は考えています。確定申告・決算処理については、必ず税理士または所轄税務署に確認の上で進めてください。
卒FIT後の選択肢や最新の買取サービスについて詳しく知りたい方は、以下から情報を確認してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。
